連載小説
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最悪な状況?〜群青・山吹〜
彩野side

「なーんか騒がしいな」
拓実が通信機を見て一言呟く。

さっきまで由希ちゃんがなんか騒いでたけど…
なんか腹立つーだの
あのバカップル消滅しろーだの
リア充爆発しろーだの…
…あれ、そんなこと言ってたっけ?

まぁそんなことを愚痴ってたのがまぁものすごくはっきり聞こえてきたの。
原田先輩もあんな後輩の面倒見るのもまぁ大変だね。

…ってことで拓実と二人で少し腹を立ててたところなんだけど……

さっき、ちょっと悲鳴みたいなのが聞こえてきまして…
多分声からして由希ちゃんっぽいんだよね…

「何かあったのかな?」
拓実が連絡を取ろうとするけれど……
「…操作わかんね」
「あぁもう貸してっ!」
もたつく拓実から通信機を奪って、
通信ボタンを押す。
ちなみにハンドフリーモードで。
「あ、なるほど。ありがと。」
拓実はそう言って私から通信機を受けとると、
「あーもしもし聞こえます?
どちらでもいいんで応答してくださーい」
『へくしっ!!』

繋げると同時に聞こえてくるくしゃみ。
多分由希ちゃんのもの。

『…ぐす…拓実??』
鼻をすすりながら応答する由希ちゃん。
「うん、僕だけど?」
『今、彩野ちゃんと一緒にいるよね?』
「……うん。つかそっちは今どこにいる??」
『……わかんない。』
「わかんないってどういうことだよ?」
『なんかドアがあったから開けたら、中に吸い込まれちゃって……
なんかここ、すごく寒いの……』
「…そういえば、原田先輩は?」
そう拓実が訊いた後しばらくの間があったと思ったら、
『…それが………いないの。どこにも。
ここに来るときに、はぐれちゃったみたい………』
「ええええっ!!」
なにやってんだよ!とでも叫び出しそうな拓実から通信機を奪って、
「もしもし!彩野ですっ!
そっちだって通信機持ってるんだから、原田先輩と連絡とればいいじゃない!!」
『う、うん……やってみる。
それじゃね。そっちの健闘を祈っときます』
由希ちゃんがそれを言うと同時に、
通信が途絶えた。
14/06/11 07:18更新 / 美鈴*
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