連載小説
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お節介な相手〜山吹〜
原田side

「おーい…小原さーん!!」
ふう、と溜め息一つ。
ったくもう面倒なことになったなおい。
とりあえず外に連絡でも…って…

腰につけてたはずの通信機がない!?

…え??
なんで??
なんでないの?

慌てる俺。

あ、あった。
なーんだ、地面に落ちてたじゃん。
電源切れてるけど。
さて連絡連絡…っと

「あーもしもし拓実君?あのさ…」
『先輩なにやってるんですかぁぁ!!!!』
話し始める俺の鼓膜を破りそうな程大声で文句を行ってきたのはどうやら女子らしい。
けど、今拓実君は一人のはずだよな?
今、誰と一緒にいるんだ…?

よし。俺しか見付けてない隠し機能使うか。
カチカチ、とボタンを何回か押すと、
今繋げている相手の位置情報とその周りにいる人の情報が示されるはず。

よし、拓実君はこれだな。
画面に移る山吹色の点。
その隣に寄り添うように打たれた点は
「…群青?」
ってことは、奥村さん?
…まだ一緒にいたのかよ…
これなら確かに、小原さんがあいつらをバカップル呼ばわりするのもわかる。

『先輩聞いてるんですか!?
今頃絶対に由希ちゃん寂しがってますよ!?
早く見付けてあげてくださいよ!!!』
はぁ。これが先輩に対する態度なんだろうか?
まぁいいけど鼓膜マジで潰れそう。
少しだけで良いから声量落としてほしい。
「群青の癖に口挟まないでいただけますか??」
すこしイラついた俺は敢えて丁寧な口調で言ってやる。
途端に、相手は黙る。

『もしもし。すみませんでした。
ちょっとこっちも驚いてたところなんですよ。』
相手が変わった。
男子の声だし多分拓実君だろう。

『何せさっき小原に連絡してみたところなんですけど、
先輩とはぐれたーって、泣きそうな声で…』
自業自得だろ。あっちがドア開けたんだし。
って思わなくもないけど…
「まぁ連絡取ってみるよ。早く見付けてあげないと可哀想だしな。」
『はい。お願いします。』
「んじゃ、切るわ。頑張れよ〜」

プツ…
さて、あっちに連絡とるか。



その頃。

「なんで繋がらないの〜??ぐす…」
相手は電話中ということを知らず
ひたすらコールを続けるも当たり前だが全く繋がらず
由希が半泣き状態になっていたのは、誰も知らない。
14/07/09 19:03更新 / 美鈴*
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