連載小説
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チーム分け、そして始まり
生徒たちは、別な世界に移動していた。

ここは、元々の学校ではない、全く異次元の世界。
どうやら中庭らしいところに、生徒たちはいた。

服装も変えられていた。
同じスタイルの服。
いつも着ている制服とは全く異なるデザイン。
が、色は多種多様。
紫もあれば、桃色もあり。
黒があれば白もある。
何十もの色が、混在していた。
腰にはポーチらしきものがついており、中には、まるでスマートフォンのような、通信機が入っていた。
腕には銀色に光るブレスレットが付けられていた。



彩野side

私、なんか服装変わってる……
っていうかみんな変わってる……

うぅ。カラフル過ぎて目が眩みそう。

私の服は……群青色か……


ピリピリピリピリ……
あ、やっぱりこれ、携帯なんだ。
なんだろ……?メールかな…?

あ。
チーム分けについてか。

えーと…私のチームは……

やった!
葉月と陽くんと同じだ〜!
……あれ??拓実は…………?

……拓実…
山吹色のチームか……

残念だなぁ…
一緒のチームになりたかったのに……


…ん?

これは…ひょっとして………?

うふふ♪
楽しみだな♪あの二人♪



由希side

………あ。
…山吹色だ。

私、山吹チームなんだ……
拓実も一緒……

…彩野が怒りそう……
嫉妬されちゃうなー……

……まぁ拓実には興味ないし。
仲がいいだけだし、別にいいんだけど。


……それにしても…………

なんで私の周りには青っぽい人しかいないのー!?
私すごく目立つんですけど……

…せめて赤っぽい所にさせてほしかったな……うぅ。


少し落ち込んでる所に。

ぽんっ。

「ひぁっ!?」

肩を叩かれて、ビックリして思わず変な声を出しちゃった……

「……そんなにビックリしなくてもいいだろ……」

「……あ、先輩…。」

原田先輩が、私と同じ色の服を着て、ちょっと苦笑いして、立っていた。

「…小原さんも、同じチームなんだな……はぁ。」

原田先輩は溜め息をついた。
……私と一緒なのは……嫌なのかな……?
私のこと…嫌いなのかなぁ……。
うぅ。そうじゃないといいけど。

「私と一緒は……嫌ですか??」

訊いてみたら、意外な答えが返ってきた。

「いや…俺な、ピンクと黄色が似合わなくて……
…去年は……桃色で…今年は山吹色……」

……なるほど。つまり……

「去年が似合わない色だった上に、今年が最後なので、一回は自分の好きな色が良かったのがこの色、と……」

「そういうこと。はぁ……
白か黒がよかったな…せめて紺……」

そう先輩は言うけれど……
正直、そんなに……っていうかむしろ…

「似合ってますけどね。山吹色。
…そもそも、山吹色ってどちらかっていうとオレンジっぽくないですか??」

「まぁ確かにそうだけど……」


彩野side

葉月と合流した私は、少し遠くから、由希ちゃんと原田先輩を見ていた。
当然、ニヤニヤしながら。

「あの二人やっぱり仲いいね♪」
「さて今日はどうなるかな〜?
っていうか由希ちゃん、顔真っ赤!あはは♪」
「楽しそうでいいな〜……」
「あ、葉月羨ましいの〜??」
「……うー……そういう彩野も羨ましいんじゃないの!?」
「私はそんなに……」
「いいよねリア充は。」

そんな他愛もない話をしていると。

『まもなく、始まります。
チーム毎に集まってください。』

そんな放送が入った。
よりによってうちの担任。
なんでこんな時にもあいつの声を聞かなきゃなんないの……


……ってあのさぁ。

……ここに、どんだけの人がいると思ってるの!?

どーやって300人近くいる人達の中からたったの6人を探しだせと!?
意味分かんないよ!!!



由希side

「…集まるとか絶対無理ですよね!?!?」
「まーまー落ち着け小原さん。」

そう言って、原田先輩は通信機をいじっている。
さすが二年生。すごく落ち着いてる。

「……よし、繋がった。」
先輩が呟いた。

「繋がったって……何が、ですか??」

「……まぁ……見てみろ。」
そう言って、先輩は通信機の画面をこちらに向けた。

そこには。

ずらずらと名前が書いてあった。
中には拓実の名前もあった。

「全員と繋がったから、これでいつでも話せる。とりあえず会議だ。」

さすが二年生。何もかもわかってる。

「あーあー…聞こえる〜?
あ、聞こえる。おっけー。
作戦は去年と同じ。
一年生と二年生一人ずつ近くにいるだろうし。
わかんなかったら他のやつに聞けよ〜
んじゃ、そういうことで。」

「会議」はものの10秒で終了。
原田先輩が一方的に喋っただけ。

…あの……先輩……適当過ぎません??
去年と同じって言われても分かりませんよ……


『ゲームスタート五秒前……』

放送が入った。
……なんで担任の声なの……
うざくてうざくて仕方がない。

「四……三……二……一……」

しーーーん。

……あれ??
何も言わないの??

「……………零。」

遅いよっ!!!!
タイミング遅いよっ!!!!


「さてっ行こうか小原さん!」
「え…。はい!!」



そんなこんなで、ゲームは始まった。
13/10/31 21:47更新 / 美鈴*
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