連載小説
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「お話」11.
「………ある日の夜のこと。
私は…夢を見た。


気が付けば、そこは何もない空間で。
地面があるのかすらわからない。

そんな空間に、私と齋藤先輩がいて…。

…先輩は、寂しそうに笑って、
『……手紙、読んでくれて…ないよな?』
そう言った。
『……すみません。
まだ現実と向き合えてなくて………
もし、今の私があの手紙を読んだら…
おかしくなっちゃうかもしれませんから。』
私は謝った。

あの手紙は、未だに読んでいない。
まだ、決心ができなくて……

『そう…か。』
先輩は呟いた。


『……俺は…松崎さんの側にいるべきじゃ無かったのかもな…。
なんで俺はいつも……松崎さんに、迷惑かけることしか…
そして今も……。』
先輩は、いきなり自分を責めだした。
少しうつむいた先輩の表情は、悲しみと寂しさで包まれてて……。
今にも、泣き出しちゃうそうだった。
『そっ…そんなことありません!!』
私は思わず、大声で言った。
先輩は顔を上げて、びっくりしたような表情でこっちを見た。

そうだよ。
そんなことない。

『私は、先輩がいて迷惑だった事なんて一度もありません。
むしろ、先輩みたいな人と一緒に時を過ごせて、私は幸せでしたから……』

そうだよ。
先輩がいて、幸せだったんだ。
全然迷惑なんかじゃないし、むしろ私の方が迷惑かけてるんじゃないかって…すごく心配してた。

『だから…自分を責めないでください、先輩。』
『松崎さん………。』


『……手紙…また、書くから。』

その言葉を先輩が言い終わると、夢の世界は綻び始めた。

『また、会おうな……夢の世界で。』


……そして、目が覚めた。」
14/06/11 23:14更新 / 美鈴*
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