一生
真っ暗な世界。
ここは、どこ?
歩いても歩いても、進んでるようには感じられない。
声を頼りに歩いているけど、近づく気配はない。
歩けば歩くほど、その声は遠ざかっていく。
怖い。
私は、どうして、こんな暗闇の中をさ迷っているの…?
誰か、助けて、お願い、助けて…!!!
涙とともに真っ白な光に包まれた。
真っ暗だけど、声はハッキリ聞こえる。
聞き覚えのある、綺麗な声。
香川くんかな。
いつも聞く、可愛くて、筋の通った
ルカの声。
そして、パパ、ママの声。
「れんか、しっかり!」
「お願い、目を覚まして!」
「れんかぁ~」
「お前、死ぬ気か?早く、目を覚ませよ」
なんで、そんな事言うの?
なんで、死人扱いするの?
どぅして何も見えないの?
…声、しか聞こえないよ。
私、なんで…
どぅして、
わかんないよ…っ、…。
「ぅ、うぅ…っ」
あ、声出た。
私、声出せた!!
死んでない
私、生きてる!!
…よかったぁ。
「れんか!?」
「い、今声聞こえたよ!!気のせいじゃない!!」
「中下…!」
皆…喜んでくれてる。
…?
そーいえば、ここ、どこ?
皆はどこ?
声しか聞こえない。
「ね、ねぇ、ここ、どこ?真っ暗なんだけど…」
「ここは病院。真っ暗なのは……、」
??
ルカ、最後の方聞こえなかったんだけど…?
な、なに?
こ、怖いじゃん。
もしかして、私…
「ルカ…私、目が…み、見えなくなっちゃた…の?」
「…わかんない、分かんないの!」
「れんか、落ちついて聞きなさい。今目が見えないのは、包帯をしてるからだ。でも、包帯をはずした時、目が見えるかどうかは、わからない…」
え、どぅゆぅこと…
だって、あの時…
…あっ!
そぅだった
落ちた弁当のおかずを食べようとしたら頭を蹴られて
…机の脚で目を打ったんだ。
そして、痛すぎて気を失った。
で、ここは、病院ってわけね。
…でも、なんで?
目より、足の方が痛いんだけど…
怖い。
「私、どぅなっちゃうの…?」
誰か、お願い、どぅもならないから大丈夫だと言って、
お願いだから、これ以上、不安にさせないで!
「大丈夫、どぅもならねぇ、心配すんな。」
…綺麗な声。
そんな綺麗な声で言われると安心する
ありがとう…
香川くんっ…。
「お願い、泣かないから、傷ついたりもしないって約束するから、全部、教えて。私の体は、どぅなってるの…?」
「…、どぅせ、いつかは、分かるもの。だから、…全部、話すよ。ママ、全部話してやってくれ。」
「パパ…、分かりました。
全部話します。れんか、落ち着いて聞きなさいね。
…れんかの左足は、切断したの。
だから今、ないの。ずっと、ないの…。
あとは、腕の火傷。あとに残るけど、障害は、ない、ないからね。」
「ママ、ありがとう。
私、足なくなったんだね。
それより、なんで、火傷なの?私、炎に包まれた覚えは、ないんだけど…」
「それは…あの、5人だよ。
れんか が気を失ってる時に、ライターで腕を焼いたの。
足は、大火傷すぎて、再生不能状態、だから…切断することになったの。」
ルカ、見てたんだ。
「助けられなくてごめん!私、巻き込まれるの怖くて…本当にごめん。香川くんがいなかったら、私、私…」
「泣くな、…俺があの時、お前を助けたんだ。焦げ臭かったし、誰も助けねーしで、俺、正直、周りの奴らにイライラした。」
そぅだったんだ。
「ありがとう」
「別に、さすがにアレは助けるだろ」
優しいんだね、意外と。
「ルカ、別に泣くことないよ。ルカが元気で、よかった。犠牲者が私だけで安心だよ。」
だから、ルカ、泣かないで。
「れんか、優しすぎるよ…」
「優しくなんかないよ。ちゃんと謝ってくれた、ルカ の方が優しい。」
「なんで、そんなことゆぅのぉ~、…うわぁぁぁんっ」
ルカ を余計に泣かしてしまった…
14/11/16 23:27更新 / プラス