連載小説
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突然
付き合って、2か月が過ぎました。













放課後


「涙」

校門の前に立って手を降りながら

私の名前を呼んでくれる彼。



「涙、彼氏くんがお迎えだよ」

「ヒューヒュー」

と、ひやかされます。


少し、照れる…。


























手を繋いで駅まで行きます。



バイト先の駅まで行って

良 は、バイト先駅から家が1駅先なので

ここで離れます。



寂しくはありません。


だって明日また迎えに来てくれるから





でも、バイトがない日は、迎えに来ないでいいと言いました。


イチャイチャしすぎるとすぐ別れると聞いたからです。




だけど、デートはしたいじゃない?

だから、土曜日、デート?します。


「親、いないからウチくる?」

って言うと、良 は、すごく照れながら


「…行く」

と、小さな声で答えてました。


















































土曜日。

変に緊張します。


自分の家だから、オシャレはしないけど

だけどいつもの部屋着よりはマシな服を着て



もしものために下着もいちよう……。



なんだかんだで、気合い入ってます!!

『ピーンポーン』

き、来た…



「いらっしゃい」


「おじゃまします」


「はーい、どーぞ」



良 が家に来たのって初めてかも。




「私の部屋」

昨日、綺麗に整理しました。


「部屋、綺麗…俺の部屋とは大違い…」


「そんなに、綺麗?」

当たり前でしょ。

昨日、綺麗にしたんだから


って、あえて言わないでおこう。


「うん。ヤバいくらい」


「ありがとう」







…、話すことなくなったなぁ。



あ!ここは定番の!!

「ねぇ、小さい頃の写真見る?」


「お、見たい、見たい!」




私は、アルバムをとった


でも、数が多すぎてどれにしようか迷った。


「良~、何歳頃の見る~?」


「え~?何?聞こえない!」

と言いながら、私の所まできた。


「良、あんた耳遠いんじゃない?病院行きなよ」


「涙 の声が小さいからだろ」


「いやいや、そんなことないよ!!」


「ある」


「ない」


「ある」


「ない」


キリがないことをやっていました。


結局じゃんけんに負けた私が悪いことになり

アルバム5冊もたされ

すぐそこの部屋まで運ぶ事になりました。





その時、足がよろけ

謝って、階段に落ちそうになりました


そこをなんとか、良 が助けてくれたけど

いつも履かない靴下をはいていて

さらに、アルバムを5冊もっている。



支えきれたのは一瞬で、手を繋いだまま

私と良 は階段から落ちてしまった。 










































気づくとそこは病院で


ママとパパ

そして、良 のご両親がいました


ママとパパは、

泣いていましたが


私が
「私、どうしちゃったの…」

と言うと



良 の両親に

たくさん、たくさん怒られました。


「どうしちゃったの、って何を言ってるんだ!うちの息子が助けたというのに!」


「ありがとうは、ないのか!!」


「何がしたかったんだ!!」


「だいたい、男女2人で家で遊ぶなんてどうかしている」


「今時の若者は…これだから嫌なんだ!!」


「とにかく、息子に謝れ」



このような事を言われました。


まだ、記憶に残っています…





なんだか、すごく、すごく嫌な予感がしました。


「…良、良は、どこですか!?」


「お前に答える必要はない」


「お願いします!教えてください!!良 に謝ります。ありがとうも言いたいんです!!」


「ダメだ。教えて何になるんだ」


矛盾しすぎだろ!!

なんなんだ、この人!!!



私は、起き上がった。


勢いよく、起き上がってしまい

体に激痛が走った。


「い、痛い…」


「そんなことで痛いと言ってどうするんだ!!うちの息子の痛みに比べたらマシだ」


さすがに、見ていられなくなったのでしょうか?


パパが良のお父さんに、反抗しました


「お宅、言い過ぎですよ。うちの娘は、アバラ骨を骨折し、右手、右足も骨折。痛いに決まってるじゃないですか」


「痛くない。うちの息子は…」


「…ひどく損傷しているのは知っています。うちの娘より、苦しいしことも」


「だったら!!」


「そのストレスをうちの娘で発散しないでいただきたい」


良 のお父さんは、黙りこんだ…



…私、アバラ骨、骨折してるんだ

右手も、右足も…



…良 は、私よりひどいんだよね?


「良の、お父さん…、良 は、今どんな状態なんですか?」

恐る恐るきいた

 
「………、言えない」


「教えてください!!良は、大丈夫なんですよね?」


「……、お父さん、いいじゃない。良の彼女さんなんだから…」


良のお母さんが

泣き腫らした目を隠しながら言った


「…良 は、意識不明の重体で、今、手術している最中だ」


「…え」

意識不明…?手術…?


…私、ただ3箇所、骨折しただけ



比べ物にならない…



私、大げさすぎだ…

良 のお父さんが言ってた通り…




良 のいる手術室まで行かなきゃ…


「…、良のお父さん、お母さん…手術室まで行きましょう」


私は立ち上がった。


酸素マスクや、注射など全部外して歩いた


パパやママに止められたけど

私は、いくよ。


手術室まで…



ごめんなさい、良。

のんきに眠って…

のんきに喋って…


ごめんなさい、ごめんなさい…



病室を出たところ、先生がいた。


「涙 さん…良さんのご両親…」


「はい」


「最善を尽くしましたが、良さんは…」



…え?

今、何て言った?


良 が死んだみたいなこと言ったよね?


何いってんの?


私、聞き間違えた?





良 のお父さんに、胸ぐらをつかまれ壁に押された。

アバラ骨が痛かった。


だけど、良 に比べたら、こんな痛み全然マシ


私は
「ごめんなさい」

こぅ言うしかなかった…


「誰が許すか」


「ごめんなさい」

…な、涙が

どうして涙が出るの?


何に悲しんでいるの?


良 は意識不明なだけ。

心臓は、動いてる



じゃあ、なんで私、泣いてるの?


…良 のお父さんに怒られてるから?


アバラ骨が痛いから?














 
 



…良 が死んだって、頭ではわかっているのに

自分自信がわかっていない…


だから、涙がでるんだ…



























「涙さん?腕の注射は?」


「いりません」


「痛くないんですか?」 


「良 に比べたら全然マシですから」


「それでも、安静にはしといてくださいよ。病室にお戻りください」


無理矢理、ベッドに戻され



私は、動くなと言われ、良 の最後を見届けられませんでした…











私は、この2か月間のことをたくさんたくさん思い出しました。



…良 の優しさと笑顔しか思い出せません。





14/12/26 01:08更新 / プラス
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