「お話」18.
「…何度、繰り返しただろう。
『…もう一度…。』
何度も何度も失敗しては
この言葉を言い続けた。
『もう、一度。』
過去で過ごした時間は
全部足したらもう一年になる。
何十回も何百回も…
同じことを繰り返しては、その度に心は折れて深く傷付いて…
【いっそのこと、全て忘れられたなら】
【齋藤先輩と私が出会ったことも、全て無かったことにできたなら】
【そうしたら、楽になるのに】
【この思いはもう何回目?】
【もう何も見たくない】
【もう、全て忘れたい】
そんな考えが頭をもたげ始めた。
けれど、自分の抱き続けた想いがそれを許さなくて。
楽になってしまいたい願望を押し込めてまで、自分の想いに従って、これが自分が今するべきことなんだと思って………
……そんな私は、もう限界だった。
それをきっとフィレモンも見抜いたのだろう。
『もう一度』
『……もぅ、終わりだ。』
そう、静かに告げた声は、何処か憂いを帯びていた。
『これ以上やっても、もう無駄だ。
過去は変えられない。それがわかっただろう?
…本当に変えたいと言うのであれば…
…お前の命と引き換えに、齋藤を助けるしか…それしかないだろう…。』
もぅいいよ。
二人が一緒に生きることなんて、もうできないんだから。
『それでもいい。』
そう言うと、蝶は驚いた様子だった。
『それでもいい…
せめて、先輩には残りの人生を生きて貰って、幸せになって欲しい。
どうせこんな私が生きてても無駄だから……』
『無駄なんかじゃ…』
『無駄なのっ!』
反論しようとする蝶に怒鳴り付けてしまう。
『私にとって、先輩のいない世界なんてもう意味ないの!生きてても意味無いの!
幸せなんてどこにもない!
もう友達もいないし話してくれる人もいない!
心の拠り所なんてどこにもない!
もう誰かに頼ることも頼られることも
誰かを好きになることも…
いくら勉強ができるからって
いくら生徒会長になったからって…
もう、そんなことできないよ……。
…そんな私が生きていくよりも、先輩に生きててもらった方がいい。
何倍もいい。
だから…お願い。
もう一度だけ。
…私が代わりに死んでもいい。
…先輩を、生き返らせたい!』」
『…もう一度…。』
何度も何度も失敗しては
この言葉を言い続けた。
『もう、一度。』
過去で過ごした時間は
全部足したらもう一年になる。
何十回も何百回も…
同じことを繰り返しては、その度に心は折れて深く傷付いて…
【いっそのこと、全て忘れられたなら】
【齋藤先輩と私が出会ったことも、全て無かったことにできたなら】
【そうしたら、楽になるのに】
【この思いはもう何回目?】
【もう何も見たくない】
【もう、全て忘れたい】
そんな考えが頭をもたげ始めた。
けれど、自分の抱き続けた想いがそれを許さなくて。
楽になってしまいたい願望を押し込めてまで、自分の想いに従って、これが自分が今するべきことなんだと思って………
……そんな私は、もう限界だった。
それをきっとフィレモンも見抜いたのだろう。
『もう一度』
『……もぅ、終わりだ。』
そう、静かに告げた声は、何処か憂いを帯びていた。
『これ以上やっても、もう無駄だ。
過去は変えられない。それがわかっただろう?
…本当に変えたいと言うのであれば…
…お前の命と引き換えに、齋藤を助けるしか…それしかないだろう…。』
もぅいいよ。
二人が一緒に生きることなんて、もうできないんだから。
『それでもいい。』
そう言うと、蝶は驚いた様子だった。
『それでもいい…
せめて、先輩には残りの人生を生きて貰って、幸せになって欲しい。
どうせこんな私が生きてても無駄だから……』
『無駄なんかじゃ…』
『無駄なのっ!』
反論しようとする蝶に怒鳴り付けてしまう。
『私にとって、先輩のいない世界なんてもう意味ないの!生きてても意味無いの!
幸せなんてどこにもない!
もう友達もいないし話してくれる人もいない!
心の拠り所なんてどこにもない!
もう誰かに頼ることも頼られることも
誰かを好きになることも…
いくら勉強ができるからって
いくら生徒会長になったからって…
もう、そんなことできないよ……。
…そんな私が生きていくよりも、先輩に生きててもらった方がいい。
何倍もいい。
だから…お願い。
もう一度だけ。
…私が代わりに死んでもいい。
…先輩を、生き返らせたい!』」
14/08/16 00:19更新 / 美鈴*