ポエム
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雪の都へ~小さな町角~

海に抱かれるよりも、わたし
海を胸に抱いていたいの

小高い丘に君と2人
遠くへ儚くユリカモメ  

"いつもの"をバッグから取り出す君
クルッと滑らかに針は回って
果てへと高まる 君の鼓動

「ベルクハイデも港街だったよね?」
「わたし、昨夜もそこの夢を見たのよ」

灯りに照らされた雪越しに、海が
北国の厳しい海が横たわっている

やはり小高い城に立ちながら君は
この場所(故郷)を想いながらに、見つめてる

君の青春
きらびやかな夢

その端っこくらいなら、この僕も
ささやかながら彩ることができたろうか

ベルクハイデ騎士団の制服は真紅
鍛冶屋の僕は野暮ったい作業着(笑)

無限に隔たってゆくはずの君が
いまこうして目と鼻の先にいる

花咲く手前の彼女を知っているのだと
騎士たちに吹聴する空想なんて、しないさ

雪の都に愛の夢が籠もり行くのだとしても
鼻腔にこびりついてる その残り香
明日も明後日も 吸い込んでゆくよ

鐘の音響く、真昼時まで
それは君を 諦めるための時間

昼下がり 変わることのない浜風に
明日の行き先 尋ねます

花咲く 小さな町角で―


24/04/24 08:04更新 / 雪月 統



談話室



■作者メッセージ
「輝ける青」
https://www.youtube.com/watch?v=ggTVedBexQ8

ガチに人生変えてくれるかもな曲(!)。鬼滅の刃の映画の音楽を担当された椎名豪さんの、若かりし頃(30頃)の傑作。"凛々しい女騎士"のイメージが、この曲を聴いて以来離れない……

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