ポエム
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カリスマ詩人の憂鬱(春の夢)
灰色の街に溶けたいのに
そこかしこで張っているのは週刊誌記者


夜明けの空へと吐くようだった言葉が
いつしか星々の光とひたすら競うようになり


優しく鍵盤に触れる音を聴くだけで
金貨のすべてを遠い女(ひと)の愛に変えたくなる


喫茶店の奥で脚を組み
ブックカバーの黄昏の街に
まあ悪くないなとカップを口に


悲劇のヒーロー気取りながら
「家路」に載せてく言の葉の音符


愛に焦がれる遠い目すらも
ファンへの演技に思えてくる夜


狂え狂えと自分に叫ぶ
月への踊りを詩(うた)にするよに







三日月を見るたびあなたを想う 
僕へとそっと心傾けたあなたを夢見る

可笑しいね、まだ秋の始まったばかりだというのに
僕はまるで冬枯れの中
街頭が眩しくってカーテンを閉め切り
見えもしない星の光と競うように詩を作る

可笑しいね、成功の階段駆け上るほどに
あの夏へと溶けた夢が懐かしくなる
僕は名もなき教会の掃除番になりたかった
ひっそりとした午後を磨いた窓枠に閉じ込めるような

慌ただしい夏期講習にオープンキャンパス
氾濫する言葉に猥雑なキャンパス
泥だらけになりながら明日へと駆けて
もがきながらハスの花を咲かせたつもり

だけど本当にハスの花?
硬直した言の葉は色褪せて見える
机の上の造花のように
粉雪吹くなか不自然な花弁

あなたよどうかこの僕を
この凍てついた大地から救ってほしい
春の夢のようなその笑顔で
この胸にやわらかな言の葉をください

23/10/09 16:05更新 / はちみつ



談話室

■作者メッセージ
*「家路」は、ドヴォルザークの曲のこと。

自分が目指しているわけではないですので(笑)

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