ポエム
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幸福を温め合う場所
昔はRPGの世界に憧れたけど

いまは"そんなの疲れるだけだ"と思う

昔、僕はヒーローのようになりたかった

〈昔〉と言っても1、2年前

大人になったら変わらないなんてウソだね

この9月で37歳になる今でさえ

色々なことが確かに変わっていっている

性格も詩のスタイルも、未来の夢も―





「脇役ですが、何か?」という感じ

地味な自分にも味があると心から思える

ものすごく好かれるとかじゃなしに

「○○さんって、けっこう面白いんですね(笑)」―

たとえばそんな風に思ってもらえれば御の字と

淡々と自分自身であり続けるしかない

それはたしかに諦念だ

だけど、どうしてなかなかに渋くって

1番になれない悔しさを仄かに抱えながらも

強い眼差しで前を向き続ける

そんな自分がちょっぴりカッコいい

そう、それはあくまで"ちょっぴり"

僕はもう

膨れ上がった自尊心をもて余すことはない  





右手ひとつで数えるほどの友人たちとの

食事処なんかでの談笑

友人関係はそれくらいで良い

それで十分だと

部屋の照明の橙色がささやいている


彼女はいつかできるのだろうか

できれば良いと、心から思う

そんな暁には

今度はあのショッピングモールに2人で行くのだ

温もりが降り注いでいる
かのようだった照明

なだらかで優しかった曲線の通路

遥かな青空でもなく

きらびやかな星空でもなく

家族連れ、ワイワイと友人同士、そしてカップル…

道行く人のみなが和やかだったあの場所へと

ささやかな幸福を温め合うあの場所へと

夢を架けるよ

両手を広げて、めいっぱいの

夢を架けるよ





23/09/05 07:35更新 / はちみつ



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