ポエム
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「起きなさい、もう春よーっ!」
いまchatGTPで「熊はどこで冬眠しますか?」と送ったら、地下の巣穴だけじゃなく、岩の隙間、倒木の下、そして茂った植生の中でも冬眠するのだと送られてきた。

なんと豊かな生のレパートリーだろう。なんて愛らしいのだろう。とくに茂った植物の中なんて、ユーモラスだなぁ。

地下のしんとした、無音のような静寂の最中、半ば黙想するかのように厳かに眠り続ける―そんなイメージは、こちらの勝手な思い込みだったのだ。少なくともそれだけの話じゃあ、なかったのだ。

詩だってそうだよなと、やはり僕は詩に引き付けてしまって。永遠に思われる静寂の、その最中から、汲み取られ、錬成され、そして選び抜かれた言葉として表される―それこそが理想の詩だと、なんとなくそんな風に思っていたふしがあったけれど、しかし。

"茂った植物の中で"を、茂った言葉の中で"と置き換えてみる。胸に雑然とした自由が、広がってゆく。

冬眠、睡眠、春眠……連想ゲームのように、「春眠暁を覚えず…」の孟浩然の詩に行き着いてしまう僕。"春の眠りは心地よく、うつらうつらと夜の明けたのも気づかずに寝ている"(講談社学術文庫「漢詩鑑賞辞典」より)

春になっても、その心地よさに酔いしれて眠りから覚めない―そんな熊もいるのだろうか。そんな子熊を、「起きなさい、もう春よーっ!」と、"もう朝よーっ!"と我が子を起こす人間の母親たちの愛らしさを1000倍にしたようなユーモラスさで、その大きな身体をもぞもぞと動かしては、優しく子熊を見つめている。そんな情景が目に浮かんで離れない。

優しくて面白い詩が、書きたい。

23/08/27 08:43更新 / はちみつ



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