ポエム
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夏の手紙
星空の下に君はいる
君の瞳に宿る星
小さな小さな遠い星

君は彼がどんな星か露と知らない
それは数億年前の光かもしれない
だから彼はもう存在しないかもしれない

君は知ってた?
宇宙には風がないってこと

いま僕は相変わらず数式を睨んでいる
けれど開けた窓からは風が吹き込んでくる
夏の終わりの湿った大気が肌を潤してくれる

秋になれば
僕らの瞳は澄むだろう

冬になれば
僕らの頬は紅く色づくだろう


不思議だね、こんなにもの
豊かさに彩られたこの星の夜空には
しかしあまたの悲が散りばめられている

けれど彼らは泣きもせずに
僕らに温もりを届けてくれる

僕はその事実を
しかと見つめていようと思う


君は知っているよね
たとえ離れているにしろ
遠く離れているにしろ
僕がこのいまもたしかに
世界の片隅で生きていることを


この手紙は、夏風が届けてくれたのだ―

たとえばそんな風に
信じることのできる強さを
僕は君の瞳に見ているから


23/08/25 21:27更新 / はちみつ



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