ポエム
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僕らは冬を知っている
今日から秋になった―そう感じる朝がある。そんな朝の世界が、澄み渡りながら開けてゆくような感覚が、好きだ。うっすらとした哀しみを底に宿していることを知りながら、けして現には哀しくはない。

夕暮れだって、そんなに寂しいとは思わない。むしろ一抹の寂しさを胸に抱くことで、かえって明日への希望にじんと胸が浸されるような、そんな清冽な感覚がある。


秋のえもいえぬ哀しみとは、冬という季節を前にしてのおののきのようなものではないか。僕らは冬を知っている。もう冬を知らない赤子の頃に戻ることは叶わない。

太陽が再び顔を出すのを、祈るようにして目を細めていた小学校の校庭。早くアパートに着きたいと、暗闇のなか気ばかり急いて、かじかんだ手を振り続けた仕事帰り。

肌寒くなってゆく大気に、日に日に短くなってゆく日に、僕らは秋の微睡みから徐々に覚める。冬の到来することを知る。

安楽に生きることの愚かさを悟ったならば、昼時の高く澄んだ青空さえもが"厳"冬を告げる。

冬に備えなければならない。凛々しくあれと、世界は僕らに呼びかける。

気高くあることの悦びよ。

23/08/24 06:01更新 / はちみつ



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