僕らは冬を知っている
今日から秋になった―そう感じる朝がある。そんな朝の世界が、澄み渡りながら開けてゆくような感覚が、好きだ。うっすらとした哀しみを底に宿していることを知りながら、けして現には哀しくはない。
夕暮れだって、そんなに寂しいとは思わない。むしろ一抹の寂しさを胸に抱くことで、かえって明日への希望にじんと胸が浸されるような、そんな清冽な感覚がある。
秋のえもいえぬ哀しみとは、冬という季節を前にしてのおののきのようなものではないか。僕らは冬を知っている。もう冬を知らない赤子の頃に戻ることは叶わない。
太陽が再び顔を出すのを、祈るようにして目を細めていた小学校の校庭。早くアパートに着きたいと、暗闇のなか気ばかり急いて、かじかんだ手を振り続けた仕事帰り。
肌寒くなってゆく大気に、日に日に短くなってゆく日に、僕らは秋の微睡みから徐々に覚める。冬の到来することを知る。
安楽に生きることの愚かさを悟ったならば、昼時の高く澄んだ青空さえもが"厳"冬を告げる。
冬に備えなければならない。凛々しくあれと、世界は僕らに呼びかける。
気高くあることの悦びよ。
夕暮れだって、そんなに寂しいとは思わない。むしろ一抹の寂しさを胸に抱くことで、かえって明日への希望にじんと胸が浸されるような、そんな清冽な感覚がある。
秋のえもいえぬ哀しみとは、冬という季節を前にしてのおののきのようなものではないか。僕らは冬を知っている。もう冬を知らない赤子の頃に戻ることは叶わない。
太陽が再び顔を出すのを、祈るようにして目を細めていた小学校の校庭。早くアパートに着きたいと、暗闇のなか気ばかり急いて、かじかんだ手を振り続けた仕事帰り。
肌寒くなってゆく大気に、日に日に短くなってゆく日に、僕らは秋の微睡みから徐々に覚める。冬の到来することを知る。
安楽に生きることの愚かさを悟ったならば、昼時の高く澄んだ青空さえもが"厳"冬を告げる。
冬に備えなければならない。凛々しくあれと、世界は僕らに呼びかける。
気高くあることの悦びよ。