夏の終わり
季節感の凡庸なわたしは暦で夏が
遠のいて行きつつあることを知る
力なく鳴くアブラゼミよ
お前は本当に力なく鳴いているのかい
いいのだ わたしはただ
象徴としての夏の終わりに生きたいだけと
この貧相な胸で積乱雲を抱きすくめるよ
幾筋もの陽射しを抱擁するお前を
やはり抱擁する我が胸に寄せる、
永遠のように淡い煌めきよ
わたしはその淡さとともに秋へと溶けたい
帳が降りて一羽のコオロギが鳴き始めたら
それ以後世界はずっとずっと秋なのだと思う
濡れ落ち葉たちが一個のイガグリと出逢い
寄り集まる茶のモノトーンの艶よ
そのしとやかな健気さを蒸留したい
そうして凛々しい少女剣士みたいに生きれたらなと
わたしは午後の懐かしい光に泳ぎながら
ひっそりと営まれゆく大地を想う
秋雨に湿った土の温かみを両脚に抱く至福よ
わたしは栗の木立の合間をしとやかにくぐり抜け
ベージュのような原っぱに出てさすらうのだ
そうしてどこでもないような場所を目指して
澄んだ瞳で物憂げにひんやりとした風を受け止めるのよと
そんなことを想いながら
フッと静かな笑みを溢している
遠のいて行きつつあることを知る
力なく鳴くアブラゼミよ
お前は本当に力なく鳴いているのかい
いいのだ わたしはただ
象徴としての夏の終わりに生きたいだけと
この貧相な胸で積乱雲を抱きすくめるよ
幾筋もの陽射しを抱擁するお前を
やはり抱擁する我が胸に寄せる、
永遠のように淡い煌めきよ
わたしはその淡さとともに秋へと溶けたい
帳が降りて一羽のコオロギが鳴き始めたら
それ以後世界はずっとずっと秋なのだと思う
濡れ落ち葉たちが一個のイガグリと出逢い
寄り集まる茶のモノトーンの艶よ
そのしとやかな健気さを蒸留したい
そうして凛々しい少女剣士みたいに生きれたらなと
わたしは午後の懐かしい光に泳ぎながら
ひっそりと営まれゆく大地を想う
秋雨に湿った土の温かみを両脚に抱く至福よ
わたしは栗の木立の合間をしとやかにくぐり抜け
ベージュのような原っぱに出てさすらうのだ
そうしてどこでもないような場所を目指して
澄んだ瞳で物憂げにひんやりとした風を受け止めるのよと
そんなことを想いながら
フッと静かな笑みを溢している