ポエム
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傘をささないあなた
あの朝、傘もささずに
小雨に濡れるままになっていたあなた

それは僕の青き時代の
その象徴のようにしてこの胸にある

亜麻色の光よ―実にほんのりと濡れていた
うっすらとした哀しみと戯れる、妖精のように

のっぺりとした日常を歩き始めたのは
いったいいつ頃のことだったろう

今日と同じような明日を
胡座をかくような余裕で迎え

明日と同じような昨日を
ぼんやりとした郷愁とともに振り返る

細められた両目で
あなたは明るい曇り空へと焦がれた

切なさを抱くその先にこそ
悦びの光が射し込んでくるかのように

長い昼休み
僕は昼食をとると作業場に直行し
隅から隅までゆっくりと掃く

その「ゆっくりと」に込められていた侘しさも、切なさも
いまでは生暖かい夏の夜へと没してしまったかのよう

微睡みを穿つ晩秋の風
空を浸す茜色

哀しみを招来しようと凡百のシーンに頼る自分に
優しくため息をつくように、フッと笑うのだ






23/06/22 05:40更新 / はちみつ



談話室

■作者メッセージ
花澤悠さんの「傘」へのオマージュ詩です☆♪

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