「結晶歌」から離れて
溢れ出そうな慕情を結晶化させること―
それだけをひたすら、考え続けていた気がする
胸の中の天秤が「冷」の側へと傾き気味ないま振り返ると
よくああまで感傷的になれてたなあと思う
残り火にせっせと薪を焚べる日々だった
けれど元友人の彼女への想いの丈も
またその周縁に湧き立つ叙情の煌めきのようなものも
このいま、もうみな語り終えてしまったのだろう
彼女は僕の―こう言うと恥ずかしいのだけど―"詩神"の座から
いつのまにか降りてしまっている
それでも世界で1番大切な人であることに
このいまも変わりはないんだけど
ともあれ僕はホッとしている―のみならず
"もうあんなに頑張って詩を捻り出さなくっていい"
その事実がなんだか、眩しい希望にすら見える
苦しかった
本当に苦しかった
けれど―
けれどたしかに彼女へと
僕は想い捧げるようにして詩を書いた
その記憶を、僕は墓場まで持っていくだろう
*
いつか恋人が出来たとして
僕はふたたび「結晶歌」へと向かうだろうか
たぶんもう、向かうことはないと思う
慕情をカチっとした構造に落とし込むことに
少なくとも僕の力量では、そこまでの意味はない―
それが僕があの経験から得た、多大なる教訓だ
天へと伸びやかに歌うように―
新たに愛する人ができた日には
そんな詩(うた)を歌ってみたい
それだけをひたすら、考え続けていた気がする
胸の中の天秤が「冷」の側へと傾き気味ないま振り返ると
よくああまで感傷的になれてたなあと思う
残り火にせっせと薪を焚べる日々だった
けれど元友人の彼女への想いの丈も
またその周縁に湧き立つ叙情の煌めきのようなものも
このいま、もうみな語り終えてしまったのだろう
彼女は僕の―こう言うと恥ずかしいのだけど―"詩神"の座から
いつのまにか降りてしまっている
それでも世界で1番大切な人であることに
このいまも変わりはないんだけど
ともあれ僕はホッとしている―のみならず
"もうあんなに頑張って詩を捻り出さなくっていい"
その事実がなんだか、眩しい希望にすら見える
苦しかった
本当に苦しかった
けれど―
けれどたしかに彼女へと
僕は想い捧げるようにして詩を書いた
その記憶を、僕は墓場まで持っていくだろう
*
いつか恋人が出来たとして
僕はふたたび「結晶歌」へと向かうだろうか
たぶんもう、向かうことはないと思う
慕情をカチっとした構造に落とし込むことに
少なくとも僕の力量では、そこまでの意味はない―
それが僕があの経験から得た、多大なる教訓だ
天へと伸びやかに歌うように―
新たに愛する人ができた日には
そんな詩(うた)を歌ってみたい