ポエム
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辺境の町から手紙を届ける
背丈が180cmあったら
人生は変わったろうか とか

顔がもう少し良ければ
もっとモテただろうか とか

他人を従えたところで、何でしょう?
たくさんの人から好かれたところで、何でしょう?


と、思うのだけど どうしてなかなか
悩み考えることは止められない

毎朝起きて顔を洗う
無心になって仕事をする
仲間と他愛ない話をする

そうして休日の午後なんかには
窓の外を眺めてぼんやりする

ルックスとはなんの関係もない事柄で
日々の99%は進んでゆく

なのに隙間風のような1%を
僕らはいちいち引きずってしまい

そんな日々の1%が 長い歳月のあいだに
僕らの胸に 無数の穴を開けてゆく
僕らはそうして いつの間にか傷ついている

けれど、そうして歩いてきたなかで
30を超えてからと遅かったものの
譲るということの尊さを、僕は知った

そっとしておいてもらえることの安らぎも
もうあと少しで飲み込めるはずだ

主役を張れない自分ってやつと
ようやく僕は和解しつつある

そんな僕は、定住者なのに旅人気分で
辺境の町から手紙を届けるような
そんな詩を語ってみたいと願っている

語ることは、ときに傷跡をうずかせる
そして傷は了解し切られることはない

だからそれはときに人をして
"語っていながらに孤独に"させる

だったら―

だったら僕は、その孤独を
最果ての村まで抱いてゆこう

真冬の空へとまっすぐ上ってゆくような
白い吐息のような言葉だけを、探して

それがただ1人にでも届けばいい
―とまでは思えはしないけれど

ささやかな紐帯さえあれば
僕は十分だ

23/05/29 07:20更新 / はちみつ



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