ポエム
[TOP]
僕というトーン
人との関係を
なにかダイレクトな信号の送り合い
みたいに考えると苦しくなる
(少なくとも僕はそうだ)

伝えようと思ったことが
伝わらなくって
微妙な空気が流れることもある
でもそのなんともいえない君の
あの表情のニュアンスは
もしも僕が雄弁家だったら
発掘できなかったかも
しれないでしょう?

最初に想いあり
それはいい
だけどそれが形になるためには
僕が喉を振動させ
大気に声を送らなくちゃならない
さらにそれを言葉にしようともがく
時間が君の前で延びてゆく
うなずきながらも少し
じれったそうな君
想いを語り切るというのはまるで
君をザラついた布で包むみたいだと思う
幾重にも襞が
諸々のニュアンスの襞が重なり合った布で

あの日の僕は
どうしてちょっとかみすぎちゃってた
でもそんな蛇足のような表層が
後々まで記憶に残るとするならば
それはもう深層と変わらなくって

君は明日もまたきっと
うなずいてくれるはずだ
僕自身すら(こそ)把握できない
ささやかだけれど他に1つとない
いつの間にかどうしようもなく
現れてしまっている僕というトーンに―
23/05/19 19:35更新 / はちみつ



談話室

TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c