ポエム
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星降る丘で
始まりの合図は車掌さんの笛
ガタンゴトン……高まってゆく鼓動

降りてゆく地下街
紀伊国屋前
出会い頭の二十歳の瞳
キラキラ光った宝石みたい
ヒラヒラしたスカート
キビキビ歩むもち肌の脚
僕はそんな若さを吸う悪魔?
しおらしく握ってくる右手
従順に寄せてくる小さな腰
それはうっすらと開かれたその唇から
何十回と吐息混じりに漏れ出てくる「わたし"女の子"です」の言葉

人波にヒールの音が乱れる
僕はサッとその右手を引く
よろめく君
どさくさの腰のおさわり
みなぎってしまう愛おしさ
ダイヤモンドの天井だって突き破れそうさ

あえての阪神百貨店(阪急ではなく)
心和む薄緑に白いHのロゴ
モロゾフの喫茶
若者は君だけ
窓を背に微笑む君に
淡い淡いひかりが降りて
陽だまりみたいな君の瞳は…

窓の向こうのビルはどこまでも遠くて
まるでここは、どこでもない場所
世界のなかの、どこでもない場所

今宵僕は君を抱く
星降る丘で、君を抱く―

23/04/19 20:38更新 / はちみつ



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