紋切り型の言葉の狭間
「有名人と自分比べてさ
自分って何なん?みたいに
思うときとか、あるやん?」
「分かるよ、分かるけど…
でもあなたもう37でしょう(笑)」
「それな(笑)
でも気持ちホント、分かるやん?」
「まあねぇ……」
丁度コーヒーを注ぎ終えていた
2人分のカップを持って机に向かう
カップの上を立ち昇る湯気はまるで
紋切り型の言葉の狭間の
その余韻のようで
「お待たせ―」
どこにでもあるこじんまりとした
町の片隅のマンションの一室
そうして、今朝も朝日に軽口が溶ける
ざわめきのようでさざ波でもあるような
そんな2人のコロコロとした軽口が