ポエム
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葉陰の蛍
"詩を辞めようと思うんだ―"

あの日の野営地
焚き火のそば 君の横顔
前を飛んでく緑の光
ゆっくりと光が流れていくうちに
10年の時が流れたみたいだった

遥かなる旅の途上
いっときの宿

君の詩情 
葉陰の蛍
健気にぼうっと 
光って、光って

羽ばたかんとする淡さ留める
必死にその胸に留めている
あの哀しげだった決意の瞳は―


花咲く夜の港町
今夜も生ぬるい浜風が吹く

でも町中に蛍はいなくて
街灯の影 
陰った花びら揺れるほどに

君の行き先 今夜の行く手
ジーンと蛍が飛んでいる

長髪バッサリ切ったんだぜ?
そう君は笑って

冷ややかな星がまたたけば
それは北国からの雪の便り

新調した真紅の衣装に
針葉樹と親友みたいなショートヘア
雪の粉ふんわりキラキラするほどに
堆積してゆく永遠の時
君は何を想ってる?

哀しげだけれど澄んだその
瞳のままの 君に会いたい―

23/04/09 06:22更新 / はちみつ



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