ポエム
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都会の娘、田舎の君
自分の感情で場を浸すような
君はいつもそんな話し方をした
うつむきながら、半分独り言のように
僕は大好きだった
そのいかにもどんくさい
田舎者じみたその話し方が

次々と話題を変えて飽きさせない
思わせぶりなアイコンタクトに揺さぶられる
そんなかつて夢見た都会の娘
艶めかしい腰のくびれは絶対
切れ長の目だとなお良し 
なんてこだわりで
求めていたビルのジャングルを闊歩する
キラキラ光った都会の娘

虚しく夢破れて田舎に帰り
そうして僕は君に出逢った
君は傷ついたこの胸を包んでくれた
君と僕のあいだに流れた時間は
ホームタウンな愛の時間だ
非挑発的な安産型に
僕も飾らず素朴型
信じられるかい、僕は君に
欲情ほとんどしなかったんだ
分かってくれる、僕は君と
一緒に踊ったりするよりも
一緒にため息つきたいこの感じ
いつまでもあの独り言に
包まれながら分からなくなる
僕は僕なの?
僕は君なの?
そうさ僕と君はひとつ
せせらぎの音、せせらぎの音、せせらぎの―
ホーホケキョ!って声がして
ハッとなって君を見る
13cm低かった君の
うつむき加減の視線の先
ともに見つめていたかったのに
ずっと見つめていたかったのに―
23/04/06 20:30更新 / はちみつ



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