ポエム
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過去に戻って桜坂を、あなたと
もし過去に戻れるのなら
桜並木の続く早朝の坂道を
あなたと一緒に登るだろう

薄明かりの中ひらひらと
花びら絶えず舞い降りて
覗うように見上げる笑顔に 
ちょっぴりすくみながらも
胸はどうしようもなく弾けるんだ

途中僕はバテてしまい
「ほら、行くよー」と笑いながら
あなたはズンズン進んで行く

薄明かりの中はらはらと
花びら絶えず散り降りて
小さい背中がカッコよくって
痺れるくらいにカッコよくって

"行かないで"―
強いあなたは去っていき
弱い僕だけ残されて
吐息虚しい桜坂

"大丈夫!いつか追いつけるからっ"
いつものサバサバした語り口
逆に哀しくなるから、やめてよ

2人のあいだはどんどん開いて
てっぺんの丘 小さなあなた
手を振るあなた 笑顔が咲いて

淡い朝日に 目の茶は煌めき
ほうれい線は はんなり優しい
ああ―その前歯の仄かな黄味が
憎らしいくらいに懐かしいよ

小さな小さな 大きなあなた
小さな小さな 大きなあなた

僕より背が20cmも低かったけど
あなたはずっと僕の―
大きな大きな、お姉さんだ





いつかまた巡り合えたら
そのときはずっと

ずっとずっと 
この手を引いていて

あのか細いけれど逞しい5本の指で
無骨なこの手を しかと包んで
23/05/03 11:00更新 / はちみつ



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