ポエム
[TOP]
水色の雪

きみの町の夢を見ている。

僕の実家も川の傍だけど、きみの実家はうんと可愛らしい小川の隣にあるんだったよね。黙想するサワガニたちに見守られるように、きみは優雅に紅茶なんか飲んでさ。

お供には瀬戸内レモンのケーキ。きみは行きつけのケーキ屋さんへの小さな旅から帰ってきたところで、わずか20分ほど前にはきみは、愛らしい石段の下に開ける、どこまでも広がる家並みに焦がれながら吹かれていたんだ。

ヒマワリみたいと言ったって似合うきみだけれど、冷気のさなかに咲くパンジーはもっときみにふさわしい。

いつもいつも上気していたようなまあるいほっぺ。発熱していた朗らかな夢。それはこの街の鋭角的な冬すら、瞬く間に御伽の国の冬のように変えてしまった。

だからねえ、シャーッて車の走行音なんてそれこそ、愛らしいトカゲの這い回る音にでもしてしまえばよかったんだ。

もちろん今だからこそ、言えることにすぎないんだけど。

折に触れてきみが聞かせてくれた駅前の、瀟洒な通りで凛っ、ときみが咲きますように。

季節を問わず走っているとの、冬枯れのデザインされた小さなバス。街路樹の梢越しにトコトコ走るバスを見ては、伸びやかに広がる空の水色に吸い込まれる。生きるってそういうことなのさなんて言ったら、ちょっとカッコつけすぎかな。

小さな小さな町にいながら、なにもかもとともにあるようなきみで、そんなきみであってほしい。

夏にだってきみの頬は、しっとりとした夢に包まれるんだ。水色の雪のような肌触りをきっと、きみは風に感じることができるから。

ずっと、きみのことが好きでした。


26/01/14 18:41更新 / はちみつ

TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c