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RPGと恋

今の若い人たちにとってはもう、現実と二次元みたいな、そんな対立した見方自体が古いのかもしれない。幼い頃からスマホゲーム。人と協力してのプレイに、頻回のイベントチェック。あるいはまた、いつどのくらい課金するかの算段。なんというか、現実以上に細々とした、何より生々しい計画や配慮が必要で、もちろんリソースも取られる。これはもはやもう一つの現実以外の何物でもないだろう。

40に差し掛かろうかというオッサンとして嘆いてみるけど―「昔は良かった(!)」昔はゲーム、とくにRPGはひっそりとした隠れ家のようなものだったのだよね。現実から隔絶された、一つの独立したファンタジー世界。現実ではショボくても、そこで羽を伸ばせる自分を、さまざまに感じ入る自分を、愛おしく思えたりした。もっと言えば、そこにはゲーマーの矜持とでもいうべきものすらあった。

今では、ゲームはあまりに身近になり、ファンタジー世界は手軽なインスタントコーヒーみたいになった。そこでは〈ここではないどこか〉みたいな、朧な夢のようなトーンに浸るのは難しい気がする。

RPGに限らず、なんだかすべてのものが平らに均されていくような世界だけれど、中学3年の折りにプレイしたテイルズオブデスティニー2の衝撃は、今も胸に波紋を拡げ続けてくれているような気がして、あらためて、自分がデスティニー2に出会った意味、みたいなことを、それこそ、当時に戻ったような心地で考えてみたり。

今でも時々サウンドトラックをコンポで聴くし、4年ほど前に、好きな人にもう一つサントラを買って手渡したこともある。今の人たちも、ゲームの洪水のなかからそんな、思い入れあるゲームを見つけられるといいのだけど。

具体的なことを言えば、スマホゲームではなくて、ちゃんとしたハードでプレイするのがいいと思う。それも、なるだけ1人で、他の人との接点をなくすのがいい。すると、あたかも自分1人がこの世界を知ってるんだって、そんなちょっと恍惚めいた感情が湧き起こりやすくなると思うから。

話は飛ぶようだけど、恋愛だってそうじゃないか。社会のなかの一出来事として捉えれば、星の数ほどあるありふれた出逢いの一つにすぎない。でもどこまでも自分に引きつけて眺めてみるなら、それは天からもたらされた奇跡になる。

ゲームも情報も、ホント日々洪水みたいに押し寄せてくるけど、そんな最中でしかと錨を繋ぐように、大切な記憶を、人を、見つめていたい。



26/01/12 17:18更新 / はちみつ

■作者メッセージ
もちろん、池に足を着けることも忘れずに…
僕自身はもうRPGはしていなくて、矛盾するようだけどスマホでツムツムしていたり(笑)
いつか卒業するためのRPG―そんな位置づけも、またロマンがある。
今でも自分が、RPG世界の一人物であるような気がするときがあるし、辛いときなんか積極的にそう思おうとすることも(笑)

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