空の青へと運ぶよに
きみの町の夢を見ている
僕の実家も川の傍だけどねえ
きみの実家はうんと可愛らしい小川の隣にあって
黙想するサワガニに見守られるようにきみは
優雅に紅茶なんか飲んでさ
お供には瀬戸内レモンのケーキ
行きつけのケーキ屋さんへの瀟洒な石段に吹く風に
きみは家並みを慰撫しながら吹かれていたんだ
いつも凛々しかったきみが弱いはずなんてない
夢見るように朗らかだったからこそ震えてしまった
ちょっと乾いたこの街では
田舎町の大地の土の
そのやわらかな茶へと沈んでいくだろう鐘の音は
きっと深い海の色で
その狭間できみは
どんな夢を
雨上がりの朝
しんなりと
艶めく椿
ほんのりと見つめるきみの隣に
夢見るように雨靄は浮かぶ
きみが銀狐の初夢を見るような
どうしてだかそんな気がして
冬が深まり
時の流れは大きくうねる
あの石段がケーキの階段になる
甘やかな章
息を切らして雪掻き分ける
厳しい章
息を呑むよな白銀の
海原のような大地を肩を寄せ合いきみはゆく
北風に手はかじかむでしょう
曇り空に気は滅入るでしょう
ときたま射し込む淡い陽射しに目を細めては
きみは早くも夢を見る
遠い夏の甘やかな
ちょっぴり気だるげでもある昼下がりの夢を
なごやかな談笑からふっと離れて
針葉樹の狭間に佇みき
きみはうたう
ほんのりとさみしげな視線を木立の合間に送りながら
ラララと吐息を空の青へと運ぶよに
どうかきみが故郷で
凛とまっすぐに咲けますように
しっとりと温かな夢を見ることができますように
ずっとずっと願っています
ケーキ屋の香りに
焦がれながら
25/12/23 12:32更新 / はちみつ