ポエム
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心模様は雨上がり


月光に
海原ゆらゆら、深夜2時

海風に白のカーディガンを巻き上げられて
まるで風に吹かれる蝋の火ね
なんて私は思った

ハハッ
ちょっぴり自分に、
酔っちゃってたかな

でも街路樹たちが緑の風を運んできてくれた今朝にだって
私の手は小さな折り鶴を織るように慈しみ深かったの

"そうよね?"

"うん、もちろん、そうだともさ"と
小さなケーキたちは少年のように


いつもいつも輝ける青に
町も私も抱かれていたんだ


それなりの強さで吹きつける風が水色のようだと感じた日に
私は初めて店の前の通りを瑞々しいって思ったの

けれどあなたは、ねぇ君は
まるで内気ながらも健気なセイウチのようだと言ったから

私はなんだか
ちょっぴりシュンとしていたほうがいいのかなぁ?なんて
変なことを思って寡黙な職人のような日々を過ごしたんだ


その朝も私は水色の風に吹かれてパティスリーへと出社した

あなたは新緑の煌めきそのもののように私の前に現れた

私の馬車はあなたのキラキラした瞳に引かれて
魅惑的な街をしかしやけに静かに走り抜けた

あちらのカフェに
こちらの水族館

ねぇでもわたし、ホントは

お行儀のよい淑女でもなんでもないの
しおらしい女の子でもなんでもないの


雨は私たちを汚すように清めていった


律儀で礼儀正しかったあなたの名刺はいまも引き出しのなか


なだらかな丘の家々の合間に
ひっそりと咲いていた白の紫陽花を覚えてる?


私を大人にしてくれて
ありがとね


ねぇ今度こそ私
伸びやかに瑞々しく生きるわ

水色の風に吹かれる雲のようでいたいの


もしいつかあなたに逢ったとしても

あなたのためにと

リボン付きの量産型ファッションなんてしてあげないからっ




25/06/12 22:16更新 / はちみつ



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