水の精との糸電話
山あいの町のがんばり娘
そんなささいな看板だけで
明日が煌めく午後3時
作業が一段落して外に出ると
頬を撫でて行く風がふっと
町外れの遠い湖から吹いてきているような気がした
瞬く間に夢のような水色の流れが
胸を伸びやかに駆け抜けていった
それはまさしく
水の風
水の精とののっぴきらない距離の近さ
自動的に繋がった見えない糸電話
"もしもしお姉さん、いま何をしていますか?"
"湖の上を飛び回って、木々の雫の記憶を集めています"
その夜から彼女はノートに
幻想の詩をそっと記し始めた