ポエム
[TOP]
君は砂漠のお姫様


絹のように美しい衣装が
吹きすさぶ砂風で傷たらけになってしまった君

なんていうのは
僕の夢

愛らしい小麦色だった君の二の腕を
もっともっと見つめたくて


満天の星の下にささやかな城を抜け出した君と
オアシスでひっそりと語り合いたい

そんな角度なはずはないのに
まるで三日月を逆さにしたような目で君は笑うね

湖面に抱かれるように君は咲いた
うららかな純白の花のように


君が僕より
けっこう背の低い事実が愛おしすぎて
光に紛れて僕の涙が頬を伝う


ウフフッ…とまるで女優のように
君は僕の手を引き誘う

二人きりの
深夜のダンスへ


バカみたいにラララ、らららと音程を
合わせてぎこちなく足を踏む
合間に寄せる微笑みの波

君の腰がくるりと回ると
薄緑の風が夢を見ていた


この胸で遥かなる憧憬となったから
小高い丘へと君の手を取り駆けたんだ

二の腕の小麦色に今度こそ見入った
マンゴーの艶やかな黄が胸に満ち広がっていった


丘には星々の光が鉱物のように降り注いでいた

まるで僕らは空と大地の真ん中にいるみたいだね

そう言って二人
夜の砂漠の果てを見ていた


と、そのとき
一陣の砂風がまたしても君を傷つけた

今度は僕が君の手を引いた

そっと
しかし力強く

そうして君を抱き締める

乾いた世界で
ただ君とともにありたいと




25/06/04 21:06更新 / はちみつ



談話室

TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c