風の波を掻いていく
大変ねぇ(!)と彼女は言った
終業間近の積み替えゲーム
それは
ほとほと疲れた身体に染みる一抹の涼だ
その名残り抱くよに明くる朝には
休日の朝には相も変わらず公園に行く
けれどなんだか生暖かい大気に気が滅入って
ガタンゴトンがありし日々から響いてきた
先ほど降りた
ヘソ出しルックのセクシーガール
右後ろを振り向けば
なだらかな15℃ほどの路を下るは夢を見るよなたおやかさ
あのささやかな午後にあの胸のうちに
またたいていたろう十字路は―
*
猫のよに
気だるげに左後ろを振り向く女(ひと)
厳しい書斎 金文字の本に突き当たるや
渋谷の深夜に世界がぐんるり
判別不能の西・東
羅針盤のない海 わたし
街灯だけをたよりに水掻いてきたんだなぁ(!)
降りゆく見えない星たちがあんまり美しいものだから
どんなに辛くてもベソまではかかないって
そう決めたんだっけ
埃が時を籠もらせているような不自由さね
もう一度
遠く見やるよに
そうしてまた わたし
風の波を掻いていく