小型犬のささやかな鳴き声に
歩み来たるキミの足音
夏の夜の
やさしい気だるさのなかに昇って

月がまあるく輝いてるから
今宵はキミの乳房に乾杯―

―"パシーンッ！"

―と張り手（笑）

平謝りする４０男


小さくも
なく大きくも
ないそれの
ざらつく肌理（きめ）は厳冬のあの
穿つような斑雪（まだらゆき）たちを統べていたよで

雪路行くキミの背中や半袖の紺
黒髪の鈍い光沢椿の紅（あか）をも呑む妖しさ

少しつり上がったその口角が
"邪（よこしま）可愛いく"見えるから
濃厚なショコラを買いに行きたくなる夜さ

キミがダークチェリーを口にする
その瞬間の眼差しの角度―