青い羽根
漠然と思い巡らせている
この世界に
たしかに歌や演技が存在することについて
アスファルトの煌めきに溌剌とした笑顔みてさ
ウソみたいだ無機質な革靴の徘徊するこの地上で
媚び売る女の伸びやかな声色が寄せてくる様
"私のこと、
強いって思ってた?"
"キミより美しい女(ひと)を、
僕は知ってる"
"あなた淫らな腰つきがお好きだったわねぇ?"
"「厳かな」と言ってくれないか"
"どうせ私は小娘ですよぅ"
"愛らしいメス猫とも言う"
"今晩くらいは甘えてあげて、
よくってよ?"
無数の鳥居をくぐり月へと登る巫女の胸の蠢(うごめ)きが
ねっとりと額にへばりつくよな夏の朝だ
振り返ればけっこうな傾斜を焦燥のうちに
煙みたいにくゆり流れていった芳香
入り口で執拗に腑分けするオス猫
彼は女の青紫の地層を探している
上から下まで媚態で覆い尽くされた
女の幼心(おさなごころ)の唯一の在処(ありか)を
回転扉がのしりと開いて
キミが再びおでムカデ―猫のよに逆さから着地し
"人々の頬に青い羽根をそっと、
触れさせるよなペンを右手に持てたなら な"
"うふふっ、
有名人も楽じゃあなくってよ?"
"でも君はてっぺんで、
まあるく微笑んでるように見える
まるでみなをそっと"
水色の風に浸して慰撫するよに"
"ねぇホントは私、
セックスシンボルになりたかったの"
僕はもう
頭クラクラ胸クラクラで
キミの胸は小さいし
その歩み方は
優美と言うには少しキビキビしすぎてる
そんな娘(こ)からそんなコトバが「飛び出して」きた
その衝撃が
気だるい朝をピンクローズに染め上げる
どキツい赤に焦がれてるのにどこまでも
涼しげなその
唇と頬は