夢見るよな蝶きみへと飛んで 行ったなら
一つ
また一つと
無数の鳥居を次々くぐって朝陽を
迎えた女の南国の顔
だけど傍らで鳴いている猫の
模様が白と黒というだけで
女は日本人に様変わりさ
隔絶されたキラッキラの新興住宅路を歩くや紫陽花の
水色が澄み渡る様ヒラヒラと
夢見るよな蝶きみへと飛んで
行ったなら
きみはくすりと笑うかな
くすりと笑って
くれるかな
駅前
コーヒーチェーン
がやがやと賑わい
朝というのに星を見るよに
笑顔のままに涙を流す
ねぇどうして
世界はこんなにも優しいんだい?
回転扉をのしりと開けると
スーパースターがおでムカデ―猫のよに逆さから着地したよ…
"何もかもを突っ切って有名になれたらな"
"うふふっ、有名人も楽じゃあなくってよ?"
"でも君はてっぺんでまあるく微笑んでるように見える"
"ねぇ私セックスシンボルになりたかったの"
"純情な娘(こ)のイタズラなKissのが、僕は好きだな"
一つ
また一つと
無数の鳥居を次々くぐって石段を
降りゆく女の背の紺を
猫はてっぺんから見つめてる
女の背が見えなくなると
猫は祠に戻ってく
風吹き荒ぶキラッキラの路初夏の陽射し浴びるほどに
きみが古民家で育まれてきた夢を見る
冬の火鉢越えるやひんやりと夏風
星になれない定め控えめな胸に
しっとりと抱くことできみは季節を回したんだ
合わせてくれない視線、痙攣するよに
儚げな左頬盗み見ていた僕を許して