葬儀
ピリッとした空気に、礼節のさなか折々に咲いた朗らかさよ。
粛々と雑事をこなしていると等身大の自分に出会った気がした。
でもやっぱり1番はきっと、また家族と会えたこと。
おじいちゃんの、安らかな最期の微笑に会えたこと。
自分の芯との行き交いが回復した感じがする。
上ばかり見て下も周りも見ていなかった。
愛や壮麗さ、健気さ、そんな分かりやすく大きなものばかり見ていた。
泣いても笑っても身辺は動いていくという不思議は、しかしそれらと同じくらいに大きいのだ。
流れていなかった時間がふたたび流れ出した気がする。
劇的なシンフォニーでなくたって、やさしい詩(うた)が胸を流れさえすればいい。
杉の山の、呆れるほどに鮮やかな、緑に抱かれ眠っていた祖父。