バニラソルトとシュトーレン
君に惹かれてしまったのは
君がちょっぴり抜けてたから
しっかりしてて作業も早くて
可愛い君の
ときおり見せる
「そこですか?」な返事
洗練された女性は苦手なんだ
ちょっぴり優越感を抱きたい
そんなちょびっと邪な気持ち
それは一抹の塩味となって
恋をバニラソルトみたいに絶妙にした
僕より20cm低い
150cmジャストの背丈
僕に輪をかけてツッコミのたどたどしい
口添えしたくなるいたいけなコミュ力
それでいていつもなんとなく涼し気で
友達はほとんどいなかったけれど
君はどこか敬われていたよね
そうして僕は
秋の始まりを想っている
春の麗しさには笑顔の滑らかさが足りなくて
夏の華々しさとも無縁だったけれど
君はさながら秋の姫のようだった
静けさの中で誇りを持って自足した
厳かな森の奥深くに住む姫君だ
僕は森の木々をかき分けて君に近づきたかった
そうして手を繋ぐことを夢見ていた
目も眩むような晩秋の色を
ともに目を細めては儚んで
まっさらな白銀の大地に打ち震えては
2人だけの温もりを敷き広げたかった
なかなか人と打ち解けられないこととか
日々が流れていく中で何を残していけるのかとか
そんなこんなを話しながら
そうしていつかズバリ言うんだ
"本当は寂しいんでしょ?"って
泣いてほしいー
なんて言わないけれど
その頬が紅葉みたいに赤くなる
その様を
まじまじと見つめたかった僕はいじわる
君に惹かれてしまったのは
君がちょっぴり抜けてたから
そんな君の赤らんだ頬に
何度もキスする冬の夢ー
そうだ今日はケーキ屋に寄って
シュトーレンを買って帰って1人で祝おう
バニラソルトをたっぷりかけて
☆★
バニラソルト
https://www.youtube.com/watch?v=aOypkw2F8IU