2人仰向けになって
本当にやりたいことは何だ
そう自分に問いかけたら
セックスと返ってきたから娼館に通った
ぽつりぽつりと通い続けて
気づけば半年経っていた
けれど
1番仲良くなった子とは最後など
時間中話だけしていた
寝なかったということ
そんな客は初めてだと、笑われた
1番美人の子と寝た折は異様に高揚して
女神と寝ているのかとすら思った
でも振り返って1番幸せだったのは
やはり仲良しちゃんと話し込んだ2時間
寝なかったと言ったが2人仰向けにはなった
そうして暗がりのなか
どこを見るでもなしに語らうのだ
時間の延ばされたような浮遊感
同じ非日常でも
僕にはあんな方がいい
そう言いつつ
その豊かな胸に手を当てたりはしたのだけど
もし娼館に通わなければこの今も
セックスに真実があると思い続けていたに違いない
生まれながらに想像力に乏しいから
体験してみないと分からないのか
それもタイプごとに細かく
なんにせよ分かった
煎じ詰めれば快楽でしかないと
相手が美人であってもそうなのだ
「ワンナイトスタンド」とか「乾いたセックス」とか
そんな言葉のゾクゾクするトーンには
絡みつく情はあっても愛はない
女性の肉体というよりは
女性という物語をこそ抱きたいのだと
気づかせてくれた彼女たちには
感謝しかない