流れ去っていく田舎町の夜景
もう2年半も昔
2人だけの夕食会の帰り
あなたの車の中
軽快な洋楽の響くさなか
流れ去っていく田舎町(故郷)の夜景
あなたが送り届けてくれたアパートの傍で
冬の田んぼが季節に横たわっているのを感じていた
春が来てまた夏が来る
支援員に転職したあなたは輝く日々を
やはり輝く笑顔で幸せ運んでいたのでしょう
パタリと途絶えた返信
またいつかあなたにひょっこり逢える
あなたの残り香を町に探るようにして
夢の底の甘く深い質感だけを望んでいたっけ
いま僕はこの街で
現実の切れ端をたしかにしかと掴んでいる
新たな風にこの胸は瑞々しく開いている
南海トラフが怖いから
都会に憧れがあったから
あなたの最後の手紙にはそう書いたけれど
はっきりとは書かなかった1つもまた
あなたは読み取ってくれたでしょう
"あなたへの未練を断ちたかったから"ー
あなたに出逢わなかったら
僕はまずこの街には来なかった
あなたはあの場所(故郷)で
僕は100km離れたこの街で
各々の人生を歩いていく
もう交わることはないだろうけど
あなたという記憶を僕は一生背負っていく
たとえあなたに忘れ去られるとしても