10万ボルトの切なさ
君の傷が見たい
だなんて歪な気持ち
でも胸の底から想ってて
ポツリポツリと置くよに話す
合間に頬が翳ってたなんて思うのは
きっとだから僕の幻想
でもどうか許してほしい
君のどんな哀しみだって護り抜く
その気持ちだけはほんとうだから
カッコいいと思ったって君の言葉
お世辞でも胸に染み入って泣きたくなった
苦節30年余
初めて受け入れられたような心地になって
恥ずかしいのでと君は言って薄明かりのまま
祈るように背から豊かなその胸に触れた
あどけなくはにかんだ君の笑顔に
10万ボルトの切なさが流れてきた
流し場からベッドに戻り戯れ合う
胸触っていいですよと
今度は慈愛に満ちた母親のような笑みで
抱かれてたのは僕の方だったんだなと
締めながら慰撫してくれるようだった
君の逞しい両脚の感触を想い出す
外に出たら小倉の街は嘘みたいに眩くって
でも君は今日も明日も仄暗い部屋にいるのだ
あのとき僕らは一筋の涙をともにしたよねって
振り返って語り合えるような夢が叶うとしても
それはきっとびくともしないような現実で
それが泡沫の夢となる乾いた明日がすでに見えるようで
この胸はなんだかもう哭しそうになっている
首を振って光へと向く
真っ直ぐに続く明日への道を、君と
悲も愛もともに包んで笑い合いたいから
力強く朗らかに手を繋ぎ合いたいから
まだ出逢って半月足らず
自分の世界に浸りきっている僕を見たら
きっと君は笑うだろう
あの爽やかな秋風のような笑顔で
哀しみなんてどこにもないかのように