ポエム
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妖精

熊のぬいぐるみを抱く女の子はなぜかくも可愛いのか。昨日まさに熊を抱いてる様が目に見えるような女の子をバスで見かけた。彼女はどんな風に育つだろう?たとえば彼女は、不器用な反抗はしないと思う、それこそ熊の少女のような自然さで、オトナの思惑に従わせられるなんてことも思わず、ただサラリと、毒気を含んだコトバしなやかに受け流してゆく様が見えるよう、黒髪がじつにサラサラとしてて、その頬が―ちょっとませてる感じに―涼しげだったから。スニーカーがしおらしくて胸がズキューンってなっちゃった、ゴツゴツしたハイキングシューズの僕はキミの女盛にはもう中年さ。キミは小倉(北九州の都心)行きのバスに乗ってきた。待ち合わせ相手が彼氏でないこと情けなくも祈ってた。けれどキミの華はもう隠せなくなる。あと4、5年を数えた二十歳の春には、まだ寒いのに着てた紺のヒラヒラのシャツをなびかせて、女の香り振り撒きながらキミは小倉を行くのでしょう。へそ出しルックもいいじゃない。雄熊どもが群がってきたら、妖精みたいに白い手一振り、みな退散。森に抱かれる女の子、育てや育て、森の姫―


24/02/25 17:43更新 / はちみつ



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