ポエム
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その三日月に腰掛けて
陶器のようなその頬が
僕の胸を波立たせる

ろくに話したことすらなかったのに
いきなりの「お茶しない?」に
「あっ、はい!」の二つ返事
どうしてそんなに抜けてるんだい…?
そう思うほどに愛おしさ 燃え盛ってゆく

夏蔭にいるのにさらに日傘をさす彼女が好き
彼女はさながら愛すべきシャム猫
気取っているようで、天然なだけ
澄ましているようで、朴訥なだけ

でもその胸の奥には暴風にだって
掻き消されることのないひたむきさがあって
僕はその焔を僕への関心で燃え立たせたい

先生の言葉を1字一句
聞き逃さずにいるような女の子

ドラマのヒロインみたいにたそがれない彼女が好き
陽キャみたいに甲高い声で笑わない彼女が好き
いつも聞き役に回る彼女の優しさが好き
蘊蓄を語れるのに語らない彼女のしおらしさが好き

仄暗い下校路 
うっすらと浮かぶ三日月
君に艷やかな夜はまだ早いって
謎の上から目線で言いたくなる
そうして顔を赤らめる彼女が見たい―
そんなことを下校毎に妄想してる僕はヘタレ

きっと彼女の胸にも三日月がある
真摯な愛だけが腰掛けることのできる三日月
ふざけて傾けすぎると落とされちゃう
そんな彼女は月の女神だったりして

せめてその胸に
ゆるゆんらりと腰掛けていようか
その温かな光と溶け合えることを、祈りながら
24/02/17 16:50更新 / はちみつ



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