大阪時代
大阪の狭い空の下―いつも足掻いていた
明日こそはドラマを生きるんだって、そうして
けっきょく予感を食むだけの毎日を送って
けれどあのときはまだ、未来は泡立っていた
求人雑誌は宝石箱のように輝いて見えたし
衣服を新調するなりすれば女ウケも良くなるなんて思えた
実際、僕に必要なのはひとえに行動だったのだ
なのに僕は茫漠とした不安に負けて
けっきょく小説家という夢に逃げた
馬鹿げた余裕をこくようになり
「貧しき修行時代」という役柄を恍惚と演じ始めてしまった
でもそんな俳優気取りも長くは続かなかった
書き上がるものといえばこじんまりとした断片ばかりで
それらを無理やりコラージュして前衛を気取っても
その滑稽さに薄々とであれ気づかないわけにはいかなかった
そんななか意をけっして応募したたった2、3の(!)面接にも落ち
僕は打って変わって項垂れ始めた
"俺は小説家になんてなれっこないし、
この街で青春を呼吸することだってできやしないんだ"―
薔薇色の未来を閉ざす鉄製のカーテンが
救いのないような灰色に見えた冬の日に
僕は田舎に帰ることを決めた
明日こそはドラマを生きるんだって、そうして
けっきょく予感を食むだけの毎日を送って
けれどあのときはまだ、未来は泡立っていた
求人雑誌は宝石箱のように輝いて見えたし
衣服を新調するなりすれば女ウケも良くなるなんて思えた
実際、僕に必要なのはひとえに行動だったのだ
なのに僕は茫漠とした不安に負けて
けっきょく小説家という夢に逃げた
馬鹿げた余裕をこくようになり
「貧しき修行時代」という役柄を恍惚と演じ始めてしまった
でもそんな俳優気取りも長くは続かなかった
書き上がるものといえばこじんまりとした断片ばかりで
それらを無理やりコラージュして前衛を気取っても
その滑稽さに薄々とであれ気づかないわけにはいかなかった
そんななか意をけっして応募したたった2、3の(!)面接にも落ち
僕は打って変わって項垂れ始めた
"俺は小説家になんてなれっこないし、
この街で青春を呼吸することだってできやしないんだ"―
薔薇色の未来を閉ざす鉄製のカーテンが
救いのないような灰色に見えた冬の日に
僕は田舎に帰ることを決めた