ポエム
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雪中の夢
分厚く垂れ込めた雲々に
ぴんと張り詰めた冷気
屋根に道にどっさり積もった白い雪

ああ、目前にこの一本の道が伸びていることの至福―

僕らはただ明日の日々へと歩いていけばよいのだ

可愛らしい牡丹雪には
あまねく地上の愛の戯れを

羽ばたいてゆくハクセキレイには
果てない雲の向こうへと架ける夢を

目一杯に託して

ひんやりとした優しい風を
この頬でしかと受け止めながら

僕らは歩く
いつか来たようでいまだ見ぬ
新しい純白の雪道を



空には灰色の厚い雲が垂れ込め
舞い落ちてくる粉雪たちが分厚いコートの上で戯れる
そんな侘びしくも愛おしい夕刻
今夜はあの宿に泊まろうか―

道端の家のシベリアンハスキーが鳴き立てる
申し訳なさそうなあなたの表情
雪中に儚く 燃え上りゆく
侘びしい哀しみのような情

衣服を脱いでいくあなたの肉体が
暖炉の光に照らされうごめく
黒い無地のシャツから伸びる二の腕は
しめやかな白を開いて
その瞳は薄明かりに星のように輝き
鈍く光る髪の艶には幾万もの吐息の跡―

あなたのか細い金のネックレス
その先端と出逢う
僕の左手指

気がつくとあなたは僕を
悲しげに見ている
訴えかけるように

僕は応える
窓の外の雪の舞いに
1つの夢を散らすように

23/10/03 17:07更新 / はちみつ



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