メルの冒険

しずかな森のずっと奥のほうに、フクロウさんたちのお家があります。

メルもその中のひとりです。

メルはお月さまやお星さまと、大の仲良しです。

フクロウさんたちは昼間寝て、夜に活動するので、

メルのお友だちも自然と、お月さまやお星さまになりました。

でもメルは思いました。

(ボク、お月さまもお星さまも大好きだけど、おひさまにも会ってみたいな・・・)

メルは昼間の世界も見てみたくてたまりませんでした。

そこでメルは、おとうさんとおかあさんに言ってみました。

「ねェ、おとうさん、おかあさん、ボク、昼間を見てみたいんだ」

「ほう、メルは昼間を見たいんだ、昼はいいぞぉ、

おひさまがキラキラ照らしてて、新しい友達もいっぱいいるしな、

いちど新しい世界を見るのも大切なことさ」

「うん、ボク、行ってきます!」

「メル、ひとりで大丈夫?

昼間はとってもまぶしいのよ、目が痛くなるから気をつけてね」

「うん大丈夫、うんと気をつけるからね、おかあさん」

メルはみんながいろいろ働いているなか、

ひとりでおうちのベットに入りました。

(あー あしたが楽しみだなぁ・・・)

メルはあんまりうれしくて、なかなか眠れませんでした。



ジリリリリリ・・・

目覚し時計の音で、メルは目がさめました。

「ふあぁ 朝だ、朝だ、さぁて」

「メル、もういくの?」

「メル、昼は森さえも変わる、森の外ならなおさら。

なにがあるか、わからないのだから心して行くんだぞ」

「メル、気をつけて、けっしてムチャしてはダメよ。

なるべく早く帰ってらっしゃいね!」

「うん、わかった。じゃ行ってきます! おとうさん、おかあさん」

さぁ いよいよ見知らぬ世界へ出発です!



ちょっっぴり冷たい風が、メルのほっぺをかすめていきました。

「わー いい気持ち!」

メルは朝の空気を思いっきり吸い込みました。

朝は明るくて、生まれたての露をいっぱい浴びた草のにおいがしました。

「そうだ!おひさまに会いにいこう!」

メルはお空の上のほうで、あったかい光をなげかけてる、

あのおひさまのもとへ、一直線に飛んでいきました。

けれど、おひさまに近くなればなるほど、

あつくて、まぶしくて、もう目をあけていられないほどでした。

「あとすこし、もうすこし・・・」

そのうちメルは目の前がフッと暗くなり、からだがフワッとして、

そして急に下へまっさかさまに落ちていく感触をおぼえました。

「あぁ・・・ ダメ、落ちる・・・」



ここは山のふもとの小さな街はずれ。

野原で遊んでいた夢子は、うしろでドスン、という音にビックリしてふりむいた。

「ワン、ワン!」 「ブチ!」 「キャンキャン!」 「タロ!」

と、そこに何かあります。

「なんだろう」 「なーに、なんかいたのか?」 さとる君が言いました。

「あれなんだろ、トリかな」 近づいてみると・・・

「やっぱトリだよ。なんだろね、あんまり見たことないな」

「あ、これフクロウじゃん!」

「う〜ん そういえばそうだね。ちっちゃいね、フクロウのあかちゃんかな、

かわいそうに、しんじゃってる?」

「さぁな でもなんでこんなとこにいるんだ?」

さとるが触ろうとすると、それまで動かなかったフクロウが急にビクッとしました。

こっちもビックリして思わずあとずさり。



メルは目がさめたとき、

なにがなんだかサッパリ理解できませんでした。


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