その二
た。授
授業中には結構、発言もするのに休み時間になると一人で黙り
込んで、本ばかり読んでいてもつまらない、机にばかり座って
て、透は何を言いたいのか分からなかった。まどろっこしい言
い方をしている二人の目的が分からないのだ。きっと、三人は
透明になる羽衣を被ってしまったので、クラスの他の人からは
見えないのだろう。ねぇ、と和人が透の両肩を掴んで、壁に押。
しつけてきた。「さっきの英語の授業での、succesの意味、時
計ってのは爆笑だったよな」とつまらない透の返答をもう一度、
和人は持ち出してきた。変わっているよな、お前と、さらに壁
押しつけようとするので、透はその腹を一発殴っていた。始め
て触れる男の腹は学生服の上からでも柔らかかった。関係ねえ
だろうと逆に、透の方が和人を壁に押し付けていた。苦痛に歪
だ顔は、無理に笑顔を作っているように見え、そんな表情が顔、
に貼りついてしまったように思えた。驚いてクラスの視線が視
線が自分たちに向けられているのを透は感じていた。透明に変
わる羽衣は消えてしまったのだろう、まあ、いいだろうと、睦
のごつい指が透と和人を引き剥がしてくれた。馬鹿じゃない、
急にお前、?きになって、自由になった両肩のごみでも払うよ
うな仕草をしたかと思うと、和人は急に透の鳩尾に、その小さ
それでいて硬い拳を突き上げてきた。お返しだったのか、ううっ
と透はその場に疼くなってしまった。もう、いいだろう、来い
よと睦が和人になだめるようにいうのが聞こえた。何が言いた
かったのだろう、自分の机に戻って落ち着いてくると、透は他
人と近づくっくてのはこんなのかなと思った。先生が来ると教
室のざわめきは一気に消え、静かになった。授業の始めりを告
るその声を聞きながら、先生に管理されている授業中の方が休
み時間よりもずっといいなと透は思った。
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