出逢い
ホント、ついてない。
ある冬の日だった。
すげぇ寒くって、先日降った雨が路面で凍ってて。
キラキラしてて、ツルツルしてて。
俺は友達とはしゃいでいた。
スケートなんて言ってふざけ合って。
そんな時だった。
前から来てる自動車に気づけなくって、正面から激突した。
幸い、右脚の骨折で済んだけど、母ちゃんにはめちゃくちゃ怒られた。
全治2週間。
1週間の入院生活を送ることになったんだ。
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「ここが熊田くんの病室ね。」
少しぽっちゃりめの看護師さんが、『熊田 駿介』と書かれたネームプレートを指さす。
その横には、『小林 幸音』と書かれたネームプレートがあって。
明らかに女の子の名前のそれに、軽く動揺する。
「あ、あのっ」
「ん?」
「お、女の子と同じ部屋なんすか?」
そう言うと、看護師さんが少し困ったように笑った。
「ごめんねぇ。部屋が空いてなかったらしくって…。」
「そ、そっすか…」
そんな申し訳なさそうな顔されたら何も言えないし。
そもそも俺が悪いからなぁ。
お礼の気持ちを込めて軽く礼をして、病室のドアを開く。
― どくん ―
心臓が、少しだけ跳ねる。
黒髪の、少しだけ小柄なショートカットの女の子。
折れてしまいそうな細い腕が、僅かに動く。
目が合った瞬間、俺の背筋がビリっと痺れた。
「あ…」
「よ、よろしく…っす…」
これが、俺と小林幸音の出逢いだった。
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