事件
小さな部屋には何もない
あるのは、ホコリと、窓だけ。
私は、窓を開けた。
風が頬に優しく当たる
少し、森の匂いがした
ママに会いたい…パパに会いたい。
「ちょっと来て」
女の人がドアを開けて、手招きをしている。
…こっちに来てって事かな?
女の人について行く。
外へ出た
すると、冷たい水をかけてきた。
少し寒かったから、冷たい水は
よけぃに体を冷やした。
「これで少しは、清潔になるでしょ」
と言って、私を部屋に戻した。
さっき開けた窓から入る風が冷たかったから
窓を閉めた。
私は、1つ覚えた
この窓の使い方を。
体が小刻みに震えた。
森にいたとき、雪が降って寒かった時
体が震えた時のように…
その時は、ママとパパが私を温めてくれたけど
今、温めてくれる人は、いない。
自分で、体を丸めて温まった。
とても孤独な気分になった。
ママとパパがいることは
当たり前だと思ってたから…
今、当たり前じゃないことを知る。
髪から垂れる雫が虚しく、落ちる。
今、初めて思った…
死にたいって…
死んで、ママに会いたい…
死んで、パパに会いたい…
あいたいよぅ…っ。
声を出さずに、静かに泣いた。
あれから、3日
何も、食べてない
さすがにお腹が減る
だから、食べ物を探しに行くことにした。
ゆっくり、ドアをあける
そして、外へ出る。
隣の家に、柿があるのを見つけた。
ジャンプして柿を取る
枝が揺れて、2つ落ちてきた
柿を3つ持って、またジャンプする
取れなかった
何度も挑戦した
ケド、取れないから、あきらめた。
次は…川がある!
魚を取りに行こう!
川へ降りる。
…こんな高い壁は、初めてだ
しかも、浅い
こんなんじゃ、魚なんていないや
あきらめて、壁を登る。
その時1つ柿が落ちた
急いで、拾いに行った
そして、次は、柿を落とさないように、慎重に登った
壁を登ると、その先に
畑があるのを見つけた。
1面緑だらけ
引っ張ってみる、すると
さつま芋が出てきた。
1つの根に2つ小さいのが着いてたから
2つ持って帰ることにした。
そして、家に帰る。
「おまわりさんっ!この子です!」
知らない人が、私を指差す
すると、自転車に乗っている
男の人が
「変質者…ですね」
へん、し、つしゃ?
なにそれ?
私は、無視して、走った。
早く、食べたいから
でも、自転車の人は追いかけてくる。
熊みたい…
あ…
熊なのかな…?
だったら、全力で逃げなきゃ!
殺されちゃう!
パパにそぅ、教えてもらった。
パパと逃げる練習した!
早く、もっと、早く!
じゃないと、死んじゃう!
…死んじゃう?
別に、いいじゃない
今、生きる理由も、ないんだから…
死ねば、ママに会える、パパに会える。
死んだ方がいいじゃない
でも、熊にやられて、死んだら
パパに怒られそう。
私に会ってくれなくなるかも
…逃げよう。
パパと、練習したよぅに。
家に着いた
すると、玄関に女の人がいた。
「夜しか、出るなって言ったでしょ?今、昼なんだけど?昼と夜が分かんないの?」
なんか…怖い…。
女の人は、私が持っていた柿を踏み潰した。
柿は、無惨な姿になった。
「てゆーか、あんた、その格好で外出たの?服くらい着なさいよ。ま、私のは貸さないけど」
と、笑いながら何処かへ行った。
なんだか、楽しそうだった。
さっきの怖いの
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