6.全員集合
間もなく扉が開き、目の細い女子生徒が入ってきた。
「こんにちはー…あれ?そこのお方は何者なの?」
落ち着いた口調で悠佳に尋ねた。
「うちのクラスに来た転校生。部活の見学」
「へえ…」
ここに来てやっと緊張する夜坂。
「ねえ…どうしてこの部活に入ろうと思ったの?」
「えっ?」
「うちの部は…部活として影が薄いし、どうして存在を知ったのかも気になるわ。うちみたいな閉鎖的な部よりも、あなた自信が活躍出来るところに入る方が良いのではないでしょうか?」
その言い方はまるで、これ以上部内の人数を増やしたくないかのような感じだった。
北川も、あまり人に紹介したくない感じではあったので、夜坂は気になった。
「それは…」
「椎名ちゃん、“ここでは”あんまりそういうこと言っちゃダメだよ」
「弥生先輩」
「せっかく来てもらったんだから、今日は居てもらおうよ」
石田が止めに入った。
しかし、“ここでは”の言い方が気になる。
この部活には重大な秘密があるのだろうか。
そう考えた夜坂であった。
「…わかりました」
椎名と呼ばれた女子生徒は軽く頷いた。
「…紹介が遅れたね。私は椎名奏。1年4組です」
「夜坂希依斗。北川と同じ1年2組」
二人は軽く会釈した。
しばらくすると、背の高い男子生徒が入ってきた。
「東海林か。やっほー」
「「こんにちは、大佑先輩」」
「こんにちは…はあ」
深いため息をつく男子生徒。
「あの…こんにちは。今日部活の体験に来た夜坂です」
「こんにちは。へえ、男の子かあ。今男子は俺一人だからなあ」
「そうなんですか。…えーっと、何故ため息を?」
「それは…秘密だよー」
何故か突然笑い出す。
それがなんなのか考えていると
「「あ、奈緒先輩。こんにちはー」」
「こんにちは♪」
「………」
「よし、これで全員揃ったね!」
突如声を上げる石田。
「はい?どうしました?」
「今からきーくんの歓迎式をやろっか!」
「え!?俺まだ正式入部してませんけど!?」
「どーせここに入るんでしょ?目を見ればわかるわ♪」
「まあ明日には書類提出しますけど…気が早くないですか!?」
「次の活動は2週間後なの!それなら、今やった方がいいでしょ?」
(そうなのか…?)
夜坂は頷いていた。
「よしっ決まりね!」
石田部長はやる気満々だ。
他の部員も異論は無いようで、急遽、夜坂の歓迎会が始まった。
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