1.第一印象
「皆さん、着席しなさい。重要なお話があります」
このクラスの担任の女教師が威圧感のあるハイトーンボイスで話し始めた。
「既に知っている人も居るかと思いますが、本日からこのクラスに入る人が居るので紹介します。入りなさい」
教室がざわつく。皆の目は、入ってきた男子生徒に集中する。
…ただ一人を除いて。
「ええと、俺は夜坂希依斗です。よろしくお願いします」
男子生徒が名乗った直後、女教師の怒号が飛ぶ。
「ちょっと北川さん!寝ないで前を向きなさい!」
教室中の目は北川と呼ばれた生徒の方に向いた。
「…何のつもりですか。何故私は興味の無い男の、聞く必要の無い話を聞いていなければならないのか、理由を私の納得のいく形で言ってくだされば聞いて差し上げても構いませんけど?」
「…ごめんなさい夜坂君。あんな人もいるけど許してあげて」
「ははは…」
苦笑いをする夜坂。
夜坂は奥の席に座り、先生の話を聞く。
(どうせあなたも私に興味なんて無いでしょう?)
北川こと北川悠佳はため息をついた。
北川は顔は可愛いがとびきり暗い性格で、クラスでは浮いている。
(あ〜今日学校が終わったらやっと本屋に行ける〜♪)
実は素はとびきり明るい性格なのだが、そんなことは誰も知らない。
(あー早く学校終わんないかなぁ〜)
夜坂は話が終わった後、クラスメートと話していた。
人当たりの良い性格のようで、しかも結構な美形なのですぐに男女問わず慕われた。
でも、
(誰かに興味無いって言われたよな…ふん、そんな奴に関わるのはこっちから願い下げだ。ああ、いらいらする)
北川の第一印象は最悪だったようだ。
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