1.最終試験の幕開け
「ううっ、緊張しますねぇ……」
真っ黒の長髪を両サイドに纏め、私服と思われるこれまた真っ黒のワンピースを着たやや背が高く足の細い少女は、最終試験会場での第一声にこれを発した。
最終試験を受けるほとんどの人が集まっているこの会場は、思いの他静かだ。
今は皆、試験監督が、これから何をするのかを発表するのを待っているのだ。
彼女達が今受けているのは、宇宙平和開発会議、通称UCPADの議員試験だ。
見事合格すれば、UCPADの本部のある星、ティオクへの永住権を得られる。
そこでは宇宙の平和を目指すため、高度な社会を築いている。
もちろん宇宙平和に向けた会議もしばしばあるので責任重大だが、宇宙で一番幸せな星と言われている。
しかも試験の資格は年齢、人種、学歴等問わず、現議員から推薦を受けることも可能。
しかしその分毎期受験者が無数にいて、一説によると受験倍率は10000倍を遥かに凌ぐらしい。
受験の流れとしては、
1.書類審査
ティオク語を使えなければほぼ確実に落ちる(会議ではこの言葉が使われている)。
推薦を受けた人はここを飛ばせる。
ここで9割は落とされるらしい。
2.面接
推薦の人はここから。
現議員の2人が面接官となる。
3.総合試験
彼女達は今ここ。
ここまで残れた人達の最後の試験。
…といういろいろな意味で過酷なもの。
「あっ」
彼女は小さい声を出した。
『これより最終試験を始めます』
『受験者の皆様はこの巨塔を登り、一番上へ来れた受験者を採用することと致します』
『ただ、ここは非常に危険なところです。どうか気をつけてください』
『最終採用予定者は2名です。では皆様、健闘を祈ります』
その直後、どこからか『開始!』という文字のついた花火がうち上がった。
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