守りたいもの
「京香あのね…」
「知ってるよ、翼と付き合うことになったんでしょ?」
「え?なんで知ってるの?」
「翼がバカみたいにみんなに自慢してたわよ」
「えー!京香にはちゃんと一番に自分から報告したかったのにぃー」
「気持ちだけで嬉しいわよありがとう、ちゃんと一番に報告してくれて」
「うんうんうん!!じゃあ、私もう部活行かなきゃだから後でいろいろ話そ!」
「ハイハイ、いってらっしゃい」
「行ってきますです!!」
あっ……梨桜またこけてるよ(笑)
翼と梨桜が付き合う事になって本当によかったと思う。
翼に梨桜をとられちゃうのはちょっと悔しい。
でも梨桜がそれで幸せなら私はそれでいいんだって思う。
さて、私も帰ろうっと。
「長谷川さん」
あれはえーっとえーっと……あー隣のクラスの確か佐山花蓮ちゃんだっけ。
「何?」
「話があるんだけどいいかな?」
「うん、いいよ」
「梨桜ちゃんだっけかな翼くんと付き合ってて、長谷川さんと仲がいい子って」
「そうだけど、梨桜がどうかしたの?」
「うん、実はね、梨桜ちゃんに私階段で押されたの。それで、翼くんに二度と近づくなって言われたの」
え?今この子なんて言った?梨桜が佐山かんを階段から突き落としたって言いたいの?
嘘だ。そんな卑怯な真似梨桜がするはずない。
「佐山さん。ごめんね。私その話信じられない」
「どうしてよ!?」
あらら?美人なお顔の化けの皮が剥がれかけてるね。梨桜を悪者にしたんだ。その化けの皮剥がしてやろーじゃないの。
「梨桜がそんな卑怯なことするはずないでしょ?もし佐山さんに翼がとられそうになったならあの子なら真っ正面からあなたにぶつかっていくはずだもの。そんな見え透いた嘘が私に通用するとでも思ったの?そんなんで私が梨桜を疑っちゃったらあの子の幼馴染として、親友としてやっていけないわよ」
「……」
「分かったら翼のことは諦めてあげて。好きなら、その人の幸せを願うことも大事よ」
ふぅー。言うことは言った。あとはあの子がどうやってでてくるかね。
「諦めるわけないでしょう?こうなったら梨桜ちゃん自身に手を下すまでよ」
頭にきた。
「梨桜に手を出してみなさい。あんたの顔を二度と街中を歩けなくなるくらい悲惨な顔に変えてやるわよ」
佐山さんは私を睨んで走って行った。
でも本当に梨桜にあの子が手を出したら私は絶対に二度と街中を歩けなくなるくらい悲惨な顔にしてやろうと思う。
梨桜が傷ついたら私は私でいられなくなるかもしれない。
翼に今のこと相談しておこう。
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